建設工事における創意工夫の事例5選
公共工事における”創意工夫”は、工事の成績評定に関係するため、各企業が積極的に取り組むべき内容です。
とはいえ、「高い点数を狙うために一体どのようにすればいいのか」悩んでいる方も多いと思います。
今回は、土木の工事における創意工夫とはどのようなものか、なぜ必要なのか? に加えて、具体的にどのように取り組めば良いのか解説していきます。
成績評定の点数を上げたい方は、ぜひ最後まで読んでください。
監修者 栗山秀樹
株式会社ワクワーク創業者|栗山工業株式会社代表取締役|建設業界19年| ICT歴3年|茨城県の美浦村で建設会社を経営してます|YouTube、XでICTの魅力を発信中!
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執筆者 石井淳嗣
株式会社ワクワーク代表取締役|株式会社美浦クリーン代表取締役
- 目次
・工事現場における創意工夫とは
・公共工事における成績評定の採点者
・創意工夫のポイント
・工事現場で創意工夫が必要な理由
・工事現場で行える創意工夫事例9選
・社内パトロールの実施
・工事範囲を示すAバリの足をキャラクターにする
工事車両は輪止めを設置する
鉄筋へ防錆材を塗布する
太陽光による発電設備の導入
地域の学生をインターンシップで受け入れ
工事現場付近のごみ拾い
コンクリートの養生期間の延長
BHにICT機械を設置し過積載を防ぐ
工事現場における創意工夫は簡単なICTから
工事現場における創意工夫とは
土木工事における「創意工夫」とは、成績評定における評価項目の一つです。
創意工夫として発注者から認められることで、工事成績評定の加点対象になります。
なお、国土交通省の成績評定表には以下のとおり記載されています。
創意工夫は、工事特性のような難度を伴わない工事において、企業の工夫やノウハウにより特筆すべき便益があった場合に評価する項目である
端的にいうと、工事を進めていくうえで、発注者の定める品質や規格、安全性以上のものを行う行為が該当します。
具体的には、以下の内容が対象です。
・施工
・新技術活用
・品質
・安全衛生
公共工事における成績評定の採点者
工事成績評定における採点者は以下の3名です。
・担当監督員(又は主任)
・主任監督員(又は統括)
・検査員
基本的には成績評定は検査員を含め3名で採点をしていきますが、創意工夫の採点者は担当監督員又は主任監督員です。
なので、創意工夫の加点を狙う場合は「監督員が評価したい」と思うような内容の施策を行っている必要があります。
どのような項目が監督員の評価につながるのかというと、評価の項目は発注者のホームページで公開されているのでチェックしてください。
「意外とこんなことでも、対象になるんだ」という項目が含まれているので、工事の準備期間にチェックすることをおすすめします。
さらに、監督員とのコミュニケーションをとることも重要です。
しっかりと発注者とコミュニケーションをとることで、「どういう事例だと加点になる」という話を教えてくれることもありますよ。
創意工夫のポイント
創意工夫の対象としては、費用を発注者からいただいているものは対象となりません。
発注者の仕様や規格以上の施策を行うからこそ、評価してもらえることが創意工夫です。
金額をかければいいというものではなく、効果があることに絞って施策を考えましょう。例えば、他社の事例で安全帯のフックに蛍光シールを貼るというものがありました。
安全帯を使用しているかどうかが一目でわかるというものがあります。この施策は効果は大きいですが、費用としてはシールのお金だけの微々たるものです。
とはいえ、設計変更で費用をいただくかと言えば、そんなことはありません。
こんな風に設計変更で費用を頂かなくても、現場の生産性や安全性を向上させるために行なった施策が創意工夫です。
工事現場で創意工夫が必要な理由
工事成績評定の点数が良ければ、
・優良表彰の対象になる
といったメリットがあります。
平成21年度から、 公共工事の入札において価格以外の評価手法で判断する総合評価落札方式が導入されました。
総合評価方式では、 その企業において過去の工事成績評定の点数が影響します。
例として、弊社が位置する茨城県の土木工事における総合評価方式では、工事成績表の過去5年分の工事成績評定の平均が、81点以上かつ工事件数が5件以上であれば4.0 点の評価点が付きます。
※実際の加点対象については、各自治体のホームページをご覧下さい
また、国や都道府県は工事成績評定の点数が良ければ、優良表彰をしています。
さらに、国土交通省では工事成績評定の点数が良ければ、各地方整備局における工事成績優秀企業として認定されます。
中間技術検査が省略できるのは手間が減って助かりますよね。
このように、工事成績評定の点数がよければ、得られるメリットはたくさんあります。
工事現場で行える創意工夫事例9選
ここまで、創意工夫について解説していきましたが、 ここで実際に創意工夫としておこなった施策を9つ紹介します。
・店社パトロールの実施
・工事範囲を示すAバリの足をキャラクターにする
・工事車両は輪留めを設置する
・サビラーズ塗布
・太陽光による発電設備の導入
・地域の学生をインターンシップで受け入れ
・工事現場付近のごみ拾い
・コンクリートの養生期間の延長
・BHにICT 機械を設置し過積載を防ぐ
ここで、紹介した事例を参考に現場に取り入れてみてください。
それぞれ詳しく解説します。
社内パトロールの実施
安全対策として、社内の人を巻き込んで行う施策が、社内パトロールです。
安全衛生法では、 現場代人の1日2回のパトロールが義務付けられています。
しかし、現場代人は現場業務で忙しいことに加えて、普段から現場に見慣れているため、違和感があっても気が付かない可能性があります。
なので、普段から現場を見ていない第3者の意見は非常に重要です。
工事全体の安全性向上のためにも、実施するメリットが多い施策と言えます。
実際にこの施策を行うなら、「社内パトロール」という腕章をつけて写真を撮るのを忘れずに!
工事範囲を示すAバリの足をキャラクターにする
建設業界のイメージアップを目的として
・アニメなどのキャラクター
などを単管バリケードの足を使用するという施策も効果的です。
実際に、どんどん商品のラインナップが増えていて、 キャラクターのバリケードの足は様々な種類が販売されています。
特に子供が通る道路の付近で工事現場を運営する際には、イメージアップにつながるので効果的ですよね。
費用がかかる施策ですが、小学校の通学路になっている現場などでは効果的な施策です。
工事車両は輪止めを設置する
工事現場で車両の逸走防止のため駐車する場合に、 車のタイヤに輪止めを設置するという安全対策も創意工夫になります。
通常、車を駐車する場合パーキングに入れて、 サイドブレーキを引いてから運転席を離れますが、必ずしも車が動かないとは言えません。
実際に、サイドブレーキなどが緩んでいると、車が動きだしてしまう恐れがあります。
そんな場合でも、事故が起きないように防ぐ手段が輪止めです。
車が動いてしまうことを防止するために、輪止めを設置することで、傾斜地などで車が動き出すリスクを下げることができます。
わざわざ商品を購入しなくても、現場にあるバタ角を切ることで代用できるので、簡単にできる施策です。
現場の安全性が向上することに加えて、この施策を行うことで工事関係者全体の安全意識が向上するので、効果がある施策といえます。
鉄筋へ防錆材を塗布する
搬入した鉄筋の錆止めとして防錆材を散布することは、品質向上の観点から創意工夫になります。
鉄筋は搬入から打設までに日数がかかるため、防錆処理を行うのが一般的です。
対策をしない状況では、鉄筋を組み立ててしまうと雨ざらしになるので、打設までに一日でも雨が降るとサビサビになってしまいます。
実際に、先端や曲げ化加工を行った部分は特に錆びやすいので注意が必要です。
鉄筋の錆を防ぐために効果的な方法が、防錆材の散布です。
搬入時に鉄筋に防錆剤を塗布するだけという簡単な作業で、創意工夫になります。
費用がかかる施策ですが、現場では必須の作業なので丁寧に行うことで「創意工夫です」と胸を張って言えるくらいのクオリティにすることで、創意工夫と認めてもらいましょう。
太陽光による発電設備の導入
太陽光パネルを設置して発電した電気を使うという施策です。
クリーンエネルギーの活用は「CO2の削減」に効果があるので、持続可能性が求められる社会の中で評価されます。
大きな現場ならではの施策となってしまいますが、プレハブの現場事務所を構えるような工事であれば、現場事務所の屋根や敷地に太陽光パネルを設置して、その電気を活用します。
また、大きなソーラーパネルだけでなく、色々な商品が世の中にあるので、少しでもクリーンエネルギーを活用できないかどうかを検討してみる価値はあると思います。
地域の学生をインターンシップで受け入れ
社会貢献で地域の学生を受け入れることも創意工夫です。
職業体験として学生を受け入れることが、地域への貢献になります。
実際の業務としては、測量機器の取り扱いや、写真の撮影、図面の作成などを担当の工事係員を配置して一緒に行ってもらうのが一般的です。
安全に配慮して作業をおこなってもらい、工事現場の監督業務の基礎の部分を学んでもらう機会にします。
また、小中学生に対して工事現場の見学会を実施するという施策も創意工夫の対象です。
準備や周知に手間がかかりますが、 地域の人々と交流を図ることができると同時に、 建設業への理解を深める機会になります。
創意工夫による加点対象になる」という短期的な視点だけでなく、未来の建設業界のことを考えると効果のある重要な施策と言えます。
工事現場付近のごみ拾い
これもよくある事例ですが、工事現場付近のごみ拾いは創意工夫として加点対象になります。
建設業界は元々イメージがよくありません。
工事を行うことで道路はきれいになったり、新しい構造物ができたり、といった長期的な視点で見ると利便性が向上します。
しかし、工事中は振動騒音が発生し、工事用車両の往来が増えることから、 短期的には住環境が悪化するという事実があります。
工事中への迷惑を少しでもやわらげるために「ごみを拾う」ことで、地域の住環境の改善につながり、地域への貢献を行うことができます。
近年では、 工事現場付近のごみ拾いなどは当たり前に行うようになってきて、1回ごみ拾いするだけでは加点の対象とならないということを聞きました。
毎月1日は、安全大会のあとにごみ拾い30分など、定期的な活動を行わないと加点の対象とならないことがあるので、注意してください。
コンクリートの養生期間の延長
他工事において、 技術提案として実施した内容を別の事例で取り入れて、創意工夫として実施するのが鉄板のネタです。
今回は橋梁下部工の工事現場で RC 構造物を構築していた技術提案事例を紹介します。
内容は「コンクリート標準示方書における型枠脱型日数」に比べて、コンクリートの品質向上のために、さらに2日脱枠時期を遅らせるというもの。
実施にやることとしては、
・脱枠業況を黒板入りで写真に撮る
この施策を実施することで、工事全体の工期に影響するため、施工計画立案の際に考慮する必要があります。
実際の施工に対して、写真を撮ることで、創意工夫の内容を証明できます。
BH に ICT 機械を設置し過積載を防ぐ
今まではダンプの荷台の体積を測定し、過積載にならない高さを示す明示物をダンプに張り付けて目視で確認するというのが一般的です。
さらに、実際に重量を計測するには、トラックスケールなどを準備する必要があり、毎回積載量を計測し、記録する必要がありました。
しかし、ICT技術のペイロードメータ油圧ショベルという技術を用いることで、バケットの重量を計測することができ、手間やロスなく積載重量を管理することができます。
この技術は各センサーの情報から作業機の動きを特定することで、操縦席に設置したタブレットへ情報を伝えることで、重機のオペレーターがバケットに入っている重量を把握できるという仕組みです。
その結果、バケット1杯ごとに積載量や満載までの残量が可視化できるので、生産性が向上し、過積載の防止に繋がります。
コチラの事例は規模が大きいですが、NETISにも登録されている技術なので、ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか?
工事現場における創意工夫は簡単な ICT から
以上、工事現場で行える創意工夫について解説しました。
今回紹介した事例を活用して、創意工夫の点数UP に繋がれば幸いです。
ちなみに、 最後に紹介した ICT建機の利用も実は低額でできちゃうのをご存じですか?
でも、ICTって実際に導入しようとすると
「耐久性とかどうなのかな?」
「機械を設置するのにどれくらいに時間がかかるの?」
「どこに頼めばいいの?」
なんて疑問があると思います。
弊社株式会社ワクワークならそういった疑問にすべてお答えします。
しかも、今なら弊社がおこなっている10万円からできる簡易 ICT 施工の「らくらく施工」の資料を無料で配布しています。
「今はICTを採用しなくても、現場は回っているし」なんて理由では、ドンドン世の中から置いて行かれてしまいますよ。
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